紺碧の海に望むパステルカラーの建物、石畳の小道には咲き誇る花々…。
まるで中世の映画の世界にタイムスリップしたかのような、ロマンティックな村々を巡る南仏周遊旅は、女性ならきっと一度は憧れたことがあるでしょう。
今回の旅では免許がなくても巡れるよう、ニースを拠点に公共交通機関のみで周遊するコースを組み立てました。
フランスの列車やバスは、長距離の移動では1時間以上遅れることもしばしば。前触れなしに運休になっていることもあります。
時間に追われるような無理な移動計画は避け、余裕を持って行動するのが鉄則。
ゆったりと暮らすように旅する、南仏女子旅モデルコースをご紹介します。
Day1−1|ニース・コート・ダジュール国際空港に到着

日本からの直行便はないので、パリ等のヨーロッパの地で乗り継ぐ便でニースへ向かいます。
乗り継ぎ地や航空会社にもよりますが、大体16時間から20時間程で到着。
Day1−2|まるでおとぎ話の世界!大人気のエズ村ヘ

空港から、まずはバスで最初の宿泊地であるエズへ向かいます。
ニース市内で1度乗り継ぎし、全部で1時間ほどのバスの旅。ですがなんとわずか€1.70でいけます。
バスの1回乗車券は、乗車から74分以内ならバス・トラム問わず乗り継ぎが可能。
エズは、地中海に面する断崖の上にそびえ立つ、要塞のような小さな村です。
フランス・コートダジュールにはこのような、外敵から身を守るために高所に巣を作る鷲の巣のような“鷲の巣村”と呼ばれる村がたくさんあります。中でも人気なのがこのエズ村。
南仏に行くなら、この村は絶対に欠かせません。

高台から地中海を見下ろす絶景と、まるで中世の世界に入り込んでしまったかのようなかわいらしい街並みが人気の要因。
通常はニースから日帰りで訪れますが、その人気もあって日中は観光客でごった返し、どの小道も人、人、人。
せっかくの中世の村の魅力も、人混みでは半減していまいます。
エズのよさを存分に味わうためにも、ぜひ泊まりで訪れましょう。
旧市街の中にあるシャトーホテルや、エズの旧市街を間近に眺められる宿がおすすめです。

エズの夜景は、エズに泊まったものだけがみられる特権。
忙しなく日帰りで通り過ぎていく観光客は見られない、特別な景色を堪能しながら夕食を。

エズは海に面した切り立った高台にあるので、朝にはまるで天空に浮かんでいるような気分で、海から昇る朝日を眺められます。

朝日をみたら、そのまま起きて旧市街へ向かいましょう。
Day2−1|エズの旧市街を散策

早朝のエズは、昼間の喧騒が嘘のよう。
人はときおり通りかかるのみで、この御伽の国を独り占め状態です!

エズの旧市街の道はとても細く、車は入れません。
左右に石造りの建物が迫る小道は、まるで迷路のよう。
小さな村なので、地図を見ずに歩きまわっても大丈夫です。
さまよい歩いて、誰もいない御伽の国に紛れ込んでしまったかのような気分を存分に満喫してください。
人のいない写真も、早朝なら撮り放題。

小道の散策を堪能したら、9時の開園にあわせて旧市街の丘の頂上にある「エズ熱帯植物園」へ一番乗りで向かいます。
サボテンや多肉植物、そしてその合間にある彫刻などが楽しめるのですが、この植物園の目玉はなんといっても頂上からの景色。
エズの紹介で必ずと言っていいほど出てくる絶景ポイントです!

熱帯の植物の向こうに、紺碧の地中海とリビエラの海岸線を一望できるそのパノラマは、息をのむほどの美しさ。
Day2−2|旅の拠点となるニースへ移動

お昼にホテルをチェックアウトし、バスに乗ってニースへ向かいます。
ニースでは3泊滞在。ここを拠点にマントンやモナコも日帰りで楽しみます。
1泊だけなら観光スポットの集まった海辺のホテルがおすすめですが、長くいるならAirbnbなども活用を。

今回泊まったのは、Airbnbで見つけたクラシックなアパルトマン。

南仏の小さな旧市街を巡り、暮らすように旅する今回の旅。
モダンで画一的なホテルの客室よりも、まるでフランスの古い映画の中に入り込んだかのようなロマンティックなアパルトマンのお部屋の方が、より気分を盛り上げます。

毎朝レースカーテンの揺れるバルコニーで、街の景色を眺めながらマルシェで買ったフルーツの朝食を食べて…。

夢に描いていたような南仏に暮らす旅の姿がここに。
Day2−3|ニースを代表する風景を見にニース城跡公園へ

私さて荷物をおいたら、ニースでの日々の始まりを祝し、まずはニースを代表する風景を見に行きましょう。
ニースを紹介する際に必ずと言っていいほど映し出される映像が、ニース城址公園の高台から見下したプロムナード・デ・ザングレです。
紺碧の海とオレンジの旧市街、天気がよければニース空港までも見渡せる、ニース随一のビュースポット。
ニース城址公園は、ニースの旧市街の端にある階段をのぼってアクセスするのが一般的ですが、実はエレベーターもあります。
階段で行く場合、ゆっくりと登って20分ほどで頂上へ到着。結構な距離があるので歩きやすい靴でいきましょう。

太陽の光を浴びてキラキラと輝く海辺で、のんびりとバカンスを楽しむ人々の様子は、まるで映画のワンシーンのようです。
ここに至るまでの道のりから見る景色も絶景なので、行きはエレベータ、帰りは徒歩がおすすめです。
Day3−1|日帰り旅行①パルテルカラーの街、マントン

3日目は、ニースから近隣の街へ日帰りトリップ。
まずはマントンへ向かいます。バスでもTER(地域列車)でもいけますが、TERの方が早くておすすめです。
乗り換えなしで、ニースから約40分で到着。

イタリアとの国境にほど近い街マントンは、「太陽の街」「レモンの街」として知られる南仏の楽園。紺碧の地中海を前に、パステルカラーの旧市街が広がる風景は、女子旅にぴったりのフォトジェニックさです。
南仏の輝くような日差しも、ここにくるとさらに明るく鮮やかになったような感覚に。

今回巡る南フランス、コートダジュール地方の街の中で、最も陽気でかわいらしい街といっても過言ではないかもしれません。
ジャン・コクトーが愛した街としても知られており、海沿いにはジャン・コクトー美術館もあります。 要塞のような佇まいは、思わず足をとめ写真を撮りたくなるスポット。

その先へ進むと、マントンの旧市街が見えてきます。
パルテルカラーの建物に囲まれた坂の小道。道を曲がるたび、門を潜るたびに心ときめくような光景が。いつまでもさまよい歩いていたくなる可愛らしさです。
特にサン・ミッシェル大聖堂へ至る階段は人気のフォトスポット。

旧市街の街並みを写真におさめたいなら、向かいにある防波堤の岩場へ。

ただしこの岩場の石は尖っており、岩と岩の間は大きな隙間が開いてヒールなどでは絶対に歩けません。歩きやすく、足全体を守れるスニーカーなどの靴を履いてチャレンジしてください。
歩き疲れたら、名産のレモンを使用した料理やデザートのランチを楽しんで。

パルテルカラーの陽気な可愛らしさに包まれた、とてもおすすめの街です。
Day3-2|日帰り旅行②豪華絢爛なモナコ

台マントンからニースへの帰り道、途中下車しモナコへ立ち寄ります。
世界で2番目に小さな独立国家モナコ公国は、マントンからTERで10分、ニースからも約20分ほどでアクセスでき、日帰り旅に最適です。TERでの入国時に入国審査などはありません。
周りをフランスに囲まれた海沿いのとても小さな国ですが、世界有数の高級リゾート地であり豪華絢爛な見どころがたっぷり。
モナコの象徴「カジノ・ド・モンテカルロ」や「王宮」、世界中のセレブリティの船が停泊するヨットハーバーなど。
5月のバラの咲き誇るシーズンに訪れる場合は、ぜひグレース公妃のバラ園へ。

華やかな街並みからちょっと離れた、ひっそりとした花園です。
モナコの豪華絢爛な美しさに圧倒され、花々に癒されたら、ニースの街へ戻りましょう。
Day4−1|朝一でマルシェへ

朝はせっかくなので、朝食を食べずに朝市へ。
月曜日を除く毎日、旧市街のサレヤ広場でマルシェが開かれ、地元の人々や観光客で賑わいます。
カードが使えないお店が多いので、現金を用意して向かいましょう。
色とりどりの花束や地中海らしいオリーブやハーブ、真っ赤なトマトやズッキーニなどの野菜がずらり。

南仏名物の「タプナード」というペースト状のオリーブやマルセイユ石鹸など、旅のお土産にぴったりな品も揃います。

フルーツにチーズ、すぐに食べられそうなパンや惣菜も揃うので、ここで朝ごはんを調達して、すぐそばの海辺に繰り出し即席ピクニックをするのもおすすめです。
Day4−2|ニース旧市街を散策

オレンジ色の屋根やパステルカラーの建物が立ち並ぶ細い石畳の路地、その向こうには紺碧の海岸…南仏らしい情緒を満喫できるのがニースの旧市街。
通りにはジェラート店や可愛らしいお土産ショップがひしめきます。
色彩豊かな洗濯物や花の飾られた窓辺など、地元の人たちの気取らない日常の風景でさえ、どこか古いフランスの映画を見ているかのよう。
歩き回っているだけで、思わずカメラを向けたくなる光景に出会えます。

ジェラートやニース名物のソッカ(ひよこ豆のクレープ)をつまみ食いしながら、カゴバックやオリーブなどのショッピングを楽しんで。
庶民的なレストランも多く揃うので、歩き疲れたら手頃なビストロでランチをどうぞ。
Day4−3|ニースの丘に佇む静寂の地、シミエ修道院

午後はニースの反対側に足を伸ばし、少し離れた丘の上にある9世紀に設立された「シミエ修道院」へ。
市内中心部からバスで20分ほどで到着。
教会の内部はシンプルながら荘厳で、フレスコ画や宗教画も見どころです。
こちらでぜひ訪れたいのが、修道院に併設された美しい庭園。オリーブの木々の小道を抜けると、四季折々の花々が咲く庭園へ至ります。
その最奥には小さく囲われた庭もあり、まるでさながら秘密の花園のよう。
海側の喧騒から遠く離れ、じっと座っているだけで心が洗われる時間が流れていきます。

帰りは庭園の奥から、そのまま斜面沿いに高台を降りていきましょう。
ここから見下ろすニースの街も絶景です。
修道院の入り口近くにはなんとローマ時代の遺跡が残っており、すぐそばには「マティス美術館」があるので、時間があったらぜひ一緒に訪れてみてください。
Day5 & 6|フォトジェニックなサン=ポール=ド=ヴァンスへ

ニースの宿をチェックアウトし、次の村「サン=ポール=ド=ヴァンス」へ。
電車やバスを乗り継ぎ、1時間〜1時間30分ほどで到着。
エズと同じ鷲ノ巣村で、同じように中世の面影が色濃く残りますが、芸術家たちに愛された村だけあってこちらの方が洗練されたおしゃれな雰囲気。この村と比較すると、エズはもう少し素朴で絵本の中の世界のよう。

サン=ポール=ド=ヴァンスは、どの瞬間のどこを切り取ってもフォトジェニック。
リネン専門店や香水、ラベンダーのコスメや手作り石鹸のお店など、観光地のお土産屋さんクオリティではない、南仏らしいおしゃれで質のよいお土産が手に入ります。

20世紀以降、マティスやピカソ、シャガールをはじめ多くの芸術家がこの村に魅了され、アトリエを構えてきました。
旧市街の中には、今も多くのギャラリーやアートショップが点在しています。
村の高台にある小さな共同墓地には、シャガールのお墓が。

村の中心広場では、地元の人々がペタンクを楽しむ姿も見られ、のどかな村の生活風景に癒されます。

散策の合間にはテラスカフェでひと休みし、地元のワインやオリーブを味わうのも贅沢なひととき。
サン=ポール=ド=ヴァンスでは、なんと旧市街を取り囲む城壁の上を歩くこともできます。

少し高くてドキドキしますが、めったにない経験なのでぜひ歩いてみてください。
小さな街なので1泊でも十分なのですが、実は今回巡った中で一番気に入ったのがこの村です。
旧市街のすぐそばにあるすてきな老夫婦の営む美しいシャンブルドット、「Les Orangers」にゆったりと2泊滞在。

プロヴァンス様式のお屋敷を利用した美しい建物は、幻想的でとても可愛らしく、まさに御伽の世界の住人になった気分を味わえます。
朝食には庭で採れた自家製ハーブや果実を使ったお料理が。

お気に入りの街をみつけたら、気の向くままに好きなだけ滞在して過ごせるのも一人旅の醍醐味です。
蝶が舞い花の咲き乱れる庭園で、プールに入りながら午後を過ごし、気が向いたら旧市街へお散歩へ。
しばしフランスの田舎での贅沢なバカンスを堪能しました。
Day7|ブーゲンビリアの咲き誇るカーニュシュルメール

南仏を巡る旅、最後の目的地は、海辺の穏やかな街「カーニュ=シュル=メール」です。
サン=ポール=ド=ヴァンスから空港へ戻る道の途中にあり、こちらで最後の1泊を。
カーニュ=シュル=メールはルノワールが晩年を過ごした街。
オリーブの木々が茂るルノワールの自宅兼アトリエは、現在ルノワール美術館として公開されています。
中世の雰囲気を残す旧市街「オート=ド=カーニュ」は、他の村よりも観光地化されておらず、地元の人々が暮らす生きた村としての姿を残しているところも魅力の一つ。

こちらも丘の上にある鷲ノ巣村で、旧市街の中は坂道と階段だらけ。
ですがこういった中世の趣を残す古い村にしてはとても珍しく、街の中心までバスが走っています。
左右に建物の迫る石畳の道を、芸術的なテクニックで猛スピードで飛ばしていくバスは、さながらちょっとしたアトラクションのよう。

いたるところでブーゲンビリアが咲き誇り、フォトジェニックなスポットに。

坂の頂上には、堂々としたグリマルディ城がそびえています。
Day8|日本へ帰国

カーニュ=シュル=メールからは、TERに乗って10分ほどでニース・コート・ダジュール国際空港へ到着。
最後に買い逃したお土産を購入し、日本へ帰国。
中世の面影を残す南仏の古い村々は、御伽の世界のように美しく、そこで過ごす時間は夢のように幻想的でした。
ニースを拠点に南仏の美しい村々を巡るモデルコース、御伽の世界に旅したくなったらぜひ参考にしてみてください。
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