女子旅・ひとり旅

土曜日の小旅行

トゥルク観光とムーミンの世界を巡る旅|フィンランド最古の街で自然と共に過ごす大人女子旅

フィンランド最古の街トゥルク(Turku)は、洗練された北欧デザインに彩られた都市でありながら、大自然と隣り合わせにある、どこかノスタルジックな雰囲気の漂う街。

バルト海の群島や森、穏やかな農地に囲まれたこの街は、新鮮な食材が毎朝市場に並び、豊かな食文化が育まれる「美食の街」としても知られています。

少し足を伸ばせば、ムーミンの世界が広がるナーンタリや、数万もの島々が連なる美しい群島エリアへも。

自然とともにある暮らしの心地よさを五感で感じられる、大人女子のご褒美旅にぴったりな場所です。

“何かをする旅”ではなく、“ただそこにいるだけで幸せを感じられる”―そんな旅の魅力を現地でたっぷりと取材してきました。

自然と共に暮らすフィンランド流のライフスタイルに触れる中で、日本での忙しない日々で忘れていた“日常の中にある豊かさ”を思い出せる、トゥルクの旅をご紹介します。

1. フィンランド最古の街「トゥルク」とは?

フィンランド南西部に位置するトゥルクは、フィンランド最古の都市。かつては首都として栄え、現在でも中世の面影を残す歴史のある街です。

ヘルシンキ中央駅からは直通列車で約2時間ほど。首都から気軽にアクセスできる立地も魅力のひとつです。

トゥルクのもうひとつの特徴は、約4万の島々と岩礁からなる群島エリアへの玄関口であること。

単なる無人の島々ではなく、人々が実際に暮らし、フェリーやボートが日常の足として行き交う中で、独自の温かい島文化が育まれてきました。

群島からは新鮮な魚介類や特産のジャガイモ、伝統的な群島パン、近郊の森からはキノコや野生のベリー、ハーブなどが毎日届きます。

こうした森と海の豊かな自然環境を背景に、トゥルクはフィンランドを代表する美食都市に。
実はヘルシンキ以外の都市で初めて、星付きレストランが誕生した街なのです!
トゥルクのおすすめのグルメとレストランについては、別の記事で詳しくご紹介します。

都会の洗練された文化や歴史を楽しみながら、少し足を伸ばせば島々が連なる大自然へ。
人の暮らしと自然がはっきりと分かれているのではなく、日常の中でゆるやかに溶け合い、思い思いの距離感で自然と過ごせる、その“暮らしと自然のあいだにあるグラデーション”こそが、トゥルクの大きな魅力です。

ではまずは市内中心部の見どころから見ていきましょう!

2. アウラ川沿いに広がるトゥルク市内観光スポット

まず訪れたいのが、アウラ川沿いにあるトゥルク大聖堂
1300年頃に建設されたフィンランド最古の大聖堂で、ゴシック様式の荘厳な佇まいは街の象徴的存在です。

アウラ川沿いにはもうひとつのランドマークであるトゥルク城市庁舎も並んでいるので、観光がてら川沿いをお散歩するのもおすすめ。

遊歩道では大勢の地元の人がベンチに腰掛けておしゃべりを楽しんだり、コーヒー片手に散歩したり。街の中心部でありながらとても穏やかな空気が流れています。

川沿いに10分程下っていくと、1896年にオープンしたフィンランドで2番目に古い歴史を持つ屋内市場「トゥルク・マーケットホール」へ。こちらは伝統的な食材の宝庫で、手頃な値段でローカル料理が味わえます。

また、そのすぐそばにある屋外の市場「トゥルク・マーケットスクエア」には、ベリーやルバーブなどの旬の野菜や果物、そして色鮮やかな花々がずらり。

冬にはクリスマスマーケットも出現するのだそう。

どちらも、観光客だけでなく地元の人々の日々の食事を支える台所。近郊で採れたばかりの新鮮な食材を求める地元の人々で大賑わいです。

3. ムーミンワールドとナーンタリ観光|絵本の世界へ

トゥルク中心部から少し足を延ばすと、豊かな自然に囲まれた小さな港町へ。街の喧騒から離れた場所に気軽に出かけられるのも、このエリアの魅力です。

近郊での観光で絶対に外せないのが、ムーミンワールドのあるナーンタリ(Naantali)の街。トゥルク中心部からは車で約30分ほどでアクセスできます。

1) ムーミンワールドで体験する“本物のムーミン谷”

ムーミンワールドは世界初のムーミン公式テーマパーク。
営業期間は、夏の約2か月半のみ。今回の取材時は営業期間外でしたが、特別に園内を見学させていただきました。

驚いたのはそのロケーション。なんと自然豊かな島全体がまるごとムーミン谷に!

長い木製の橋を渡れば、そこはもうムーミンたちの住む世界。
ワクワクしながら足を進めると、ムーミン屋敷で手を振るムーミンの姿が…!

園内には人工的な絶叫マシーンや乗り物はなく、絶え間なく流れる音楽などもありません。
森の中を歩いていくと、耳に響くのは鳥の声や波の音、木々を揺らす風の音だけ。

この木陰の向こうでムーミンが散歩をしているかも、スナフキンが釣りをしているかも…窓の向こうからリトルミイが私を覗いているかも…!
などとつい妄想をはたらかせてしまいそうになるほどの、圧倒的な没入感。

なお、夏の営業期間中には「エンマ劇場」で屋外ショーも行われるのだそう。

次こそは夏の時期に、必ず訪れたいです…!

2) 絵本のようなナーンタリの港町散策

ムーミンワールドを後にして、そのままナーンタリの海辺へ。
15世紀に修道院を中心に発展した歴史ある古都で、フィンランド大統領の夏の別荘地としても知られる由緒ある街です。

海沿いのプロムナードには、カラフルな木造建築やカフェ、レストランが並び、目の前にはたくさんのヨットやボートが停泊。
ムーミン谷を出てもなお、絵本の中にいるかのような可愛らしい景色が続きます。

穏やかな空気が流れる中、カフェで美味しいコーヒーを飲んで一休み。
何か特別なことをしなくても、ただ海を眺めているだけで満たされていく―そんな時間が流れています。

3. 女子旅におすすめ!トゥルクのおしゃれなホテル

ナーンタリやトゥルクの街歩きを楽しんだら、滞在先選びにもこだわりたいところ。
トゥルクには歴史的建築を活かした個性的なホテルが多く、街そのものの魅力をより深く感じられるのも嬉しいポイントです。

今回は実際に宿泊した、女子旅にもおすすめの2軒のホテルをご紹介します。

Scandic Hamburger Börs|マーケット広場前のクラシックホテル

Scandic Hamburger Börsは、トゥルク・マーケットスクエアに面した歴史ある老舗ホテル。
ホテルの歴史は1894年、ドイツ風のビアホールである「Hamburger Bierhalle」が開業したことから始まり、時代とともに増築や改修が繰り返されながらも、今も街のランドマークとして街の中心部に佇んでいます。

アールヌーボーの面影を残すクラシカルな外観と、北欧らしいモダンなインテリアが融合した空間は、足を踏み入れるだけで心が躍ります。

客室の窓からはトゥルク・マーケットスクエアを一望できる、絶好のロケーション。

最上階のルーフトップバー「Börs Katto」からは、開放的なテラス越しにトゥルクの街並みを一望できます。

朝はマーケットをのぞきながらコーヒーを片手に散歩したり、新鮮なベリーや焼き立てパンをつまみ食いしたり。
トゥルクの日常に溶け込むような滞在を楽しみたい人におすすめのホテルです。

2) Hotel Kakola|元刑務所をリノベしたユニークホテル

ちょっと変わったホテルに泊まってみたいなら、Hotel Kakolaへ。なんとこちらは、かつて実際に使われていた刑務所をリノベーションしたホテルです。

もともとは1853年に建てられた、フィンランド国内でも特に厳重な刑務所として知られる旧トゥルク中央刑務所で、2007年まで実際に重大犯罪者らを収容する監獄として使用されていました。

花崗岩造りの外観や赤レンガの内壁、そして本物の独房の鉄格子や扉といった歴史的なディテールが今も随所に残されています。

客室フロアに足を踏み入れると、そこはまさに両脇から囚人たちが飛び出してきそうな、海外ドラマで見る監獄そのものの作り。古い扉には覗き穴のあった跡も。

一方で、今回泊まったスタンダード・ツインルームは、言われなければ元刑務所とはわからないほど快適でおしゃれな空間。
ですが、よくよく見ると元々2つの独房を一つにしたような名残があったり、クローゼットには有刺鉄線のようなモチーフが描かれたりと、おどろおどろしい雰囲気が。

こんな場所で眠れるかしら…という一抹の心配もなんのその。実際は快適なベッドのおかげで、朝までぐっすりと眠ることができました。

敷地はとても広く、別棟には大きなサウナを備えたスタイリッシュなスパもあります。
小道には花も咲き乱れ、まるで天国のような刑務所です。

重厚な歴史と快適な滞在が同居する、不思議な魅力を持つホテル。
中心地からは少し離れていますが、ぜひ旅の思い出に体験してみてください。

3. トゥルク発ライフスタイルブランド「Hetkinen」|フィンランドの記憶を持ち帰る

トゥルクでぜひ立ち寄りたいのが、フィンランドの森をテーマにしたライフスタイルブランド「Hetkinen(ヘトキネン)」

ホームフレグランスやキャンドル、ボディケアアイテムなど、ナチュラルな素材をベースに作られたプロダクトは、どれもまるで森の中を散歩しているかのような心地よい香りです。

フィンランドの森や自然からインスピレーションを受けたブランドでありながら、実は日本の「侘び寂び」や自然を大切にする文化にも影響を受けているのだそう。

「コモレビ」「シンリンヨク」など素敵な名前の香りまでありました!

今回は特別に、自分だけの香りを調合するワークショップも体験させていただきました。私がイメージしたのは、「田舎の古い図書館」。

少し薄暗い部屋にやわらかな光が差し込み、空気の中に舞い上がる埃。木の棚に並ぶ古い本たちに囲まれ、中に入るとまるで時が止まったような気分になる―そんな情景を思い浮かべながら、木や本を思わせる香りを選んでいきました。

フィンランド語で「Hetkinen」とは、「ちょっと待って」という意味。
忙しい毎日の中で少し立ち止まり、自分のための時間を持つこと。自然とつながり、深呼吸すること。そんな感覚をそっと思い出させてくれるブランドです。

帰りがけに、私は「ロヴァニエミ」の香りのキャンドルも購入しました。

香りは、いつでも一瞬で旅の記憶を呼び起こしてくれるもの。
お気に入りの心地よい香りと一緒に、フィンランド流の「少し立ち止まる豊かさ」も日本へお持ち帰りです。

4. 群島リゾート「Herrankukkaro」で過ごすフィンランド時間

よりディープに自然に溶け込んだ体験をしたいなら、ナーンタリ中心部から車で数十分、トゥルク群島エリアへ。

Herrankukkaroは、群島エリアのリュマッティラ島にある、古い漁村の跡地を利用して作られたリゾート施設。
豊かな自然に囲まれたこの場所には、フィンランドらしい時間を求めて世界中から観光客が集まります。

フィンランドでは日本よりもゆっくりと時間が流れているように感じますが、おとぎ話に出てくる北欧の漁村のようなこの場所に足を踏み入れた瞬間、その時の流れはさらにゆるやかになったように感じられました。

フィンランド語で「ママのポケット」という意味を持つこの施設で体験できるのは、その名の通り大自然に包み込まれるような心地よさと、素朴で温かみのあるフィンランドの伝統文化。

約4ヘクタール(東京ドーム約1個分)もの広大な敷地は、手つかずの豊かな針葉樹林に囲まれており、森を抜けると目の前には群島の穏やかな海が広がります。

鳥のさえずりを聞きながら森を歩けば、足元にはリンゴンベリーやブルーベリーの小さな花が。夏から秋にかけてベリー摘みもできますよ!

フィンランドには「自然享受権」という考え方があり、土地の所有に関わらず、誰もが森に入り自然を楽しむことができます。
自然は所有するものでも消費するものでもなく、分かち合いながら穏やかに過ごすもの。そんな価値観が、日常の風景として息づいています。

1) 小鳥になったような気分を味わえるHerrankukkaroのコテージステイ

宿泊するのは、敷地内に点在する木造コテージ。
木々に囲まれたコテージには大きく丸く開いた窓があり、まるで森の中に作られた鳥の巣のよう。

小さな小屋ですが、それが心地よい。
デジタルや街の喧騒から離れた静けさの中で、自然の気配に包まれながら眠りにつきます。

2) 世界最大級の地下のスモークサウナを体験

Herrankukkaroでの体験の目玉は、何と言ってもスモークサウナです。
施設には複数のサウナがありますが、中でも有名なのが地下に造られた世界最大級のスモークサウナ。なんと最大124人を収容できるスケールを誇ります。

薪の煙でじっくりと燻された柔らかく濃密な熱気のスモークサウナは、ヒリヒリと焼きつくような熱さではなく、体の芯からじわじわと温かくなる感触。
じっと座ってしっかり汗をかいたら、目の前の桟橋を渡って冷たい海へダイブ!

海の冷たさに体が一気に縮み上がりますが、全身が目覚めるような感覚で爽快そのもの。
顔を上げると、目の前には夕焼けに染まった幻想的な海が。

海辺には木造の露天風呂も設置されているので、フィンランドで親しまれている炭酸カクテル「ロングドリンク」を片手に浸かりながら、冷えた体を再び温めましょう。

体にしみわたるようです…!
夕日が目の前の海をオレンジ色に染めていく様子は、静かに見入ってしまうほどの美しさ。非日常感たっぷりのサウナ体験です。

3) バルト海のフローティング体験

Herrankukkaroでは、サバイバルスーツ(ドライスーツ)を着て海面に浮かぶフローティング体験もできます。
スーツは浮力と防水・防寒性に優れていて、泳げない人でも自然とプカプカと水面に浮くので安心です。

水着を着て浮かんでいる時よりも浮遊感があるため、体の全ての力が抜け、海と自分の境界が溶けていくような不思議な気分に。
ゆらゆらと無重力のように漂っているうちに、気づけば心も体もすっかりリラックス。

私たちは昼間に体験しましたが、夜には月明かりや満天の星空を眺めながら浮かぶこともできるそうです。

4) 五感で味わうローカルフード

Herrankukkaroで出されるのは、群島の新鮮な魚介や季節のベリーなど、地元の食材を生かした素朴で力強い料理。

ランチのデザートには、フィンランド伝統のパンケーキが登場。
一般的なパンケーキとは異なり、オーブンで焼き上げる四角い厚焼きタイプ。ベリーソースをたっぷりとかけていただきます!

とろりとした手作りジャムの甘酸っぱさと、素朴な味わいのパンケーキが相性抜群。
フィンランドでは木曜日にエンドウ豆のスープと一緒に食べるのが、昔から親しまれている習慣なのだそう。

夜になると、今度は焚き火を囲んでディナータイム。
オーブンでじっくり焼き上げた肉厚のサーモンを、最後にハーブの枝で叩いて香り付けします。

立ちのぼる香り、薪のはぜる音、海から吹く風― 自然の中で五感で味わう食事は格別です。

夏の夜は遅くまで明るく、海を美しく照らし出す夕日に囲まれながら、家族や仲間たちと語り合う時間はいつまでも尽きません。
時計を見ることすら忘れてしまうような時間が流れていました。

トゥルクで味わう、フィンランド流の幸せの旅

都会の便利さや洗練された文化と、すぐそばに広がる手つかずの自然。トゥルクの街には、「自然とともにある暮らし」がごく当たり前に息づいていました。

アウラ川沿いの散策やマーケットでのローカルな時間、ナーンタリのムーミンの世界、そして群島エリアで自然に包まれて過ごす時間―そこで味わえたのは、派手な観光スポットを次々と消費するような旅ではなく、フィンランド時間に身を任せ、仲間と笑い合い、自然の恵みをいただく、そんなシンプルで確かな幸せに満ちた時間でした。

忙しい日本で過ごすうちにいつの間にか見失っていた、ただそこにいるだけで満たされる感覚。
そんな大切な感覚を思い出しに、トゥルクを訪れてみませんか。    

PR

関連記事

mugi

mugi

フリーランスフォトグラファー&ライター。国内の様々なホテルやコスメブランドの広告写真撮影を行う傍ら、複数のメディアにてトラベルライターとして国内外を取材。
自身のSNSでもトラベル&ウェルネスをメインテーマに、大自然の中のリトリート旅や絶景クルーズ旅行など、上質な時間の流れるひとり旅&女子旅を発信中。
訪問国は32カ国。特別感のあるホテル、ヴィラ探しが得意。
効率重視の旅ではなく、そこでしか味わえない心ときめきく瞬間を求めて旅しています。